打楽🐷ぶ〜ろぐ

打楽器愛好者、曲淵俊介の身に日々起きる、打楽器に関する小言

音の方向ってあるの?

昨日ブログを書いた、くらいに思っていたのだけど、気がついたら6日とか経っていたらしい。気を抜くと一瞬で時間が流れる気がする。

そもそも、最近物忘れ激しいので、自分の備忘録も兼ねてやっているし、気を抜いている場合ではなかった。。。!

 

先日、前々から見ているとある中学生の生徒さんのレッスンにて。。。

彼女はものすごい努力家で、いつもレッスンの度に沢山練習してくるのだけど、どうもあと一歩の所で自分の殻に閉じこもってしまうというか、演奏は出来ているのだけど心がどこか遠くに行ってしまうような雰囲気があって、自分でも実感していながらも、中々その殻は破れずにいたのだった。

 

バリバリのダンスビートな楽曲だったけど、手元を注視しながらバチをさばく、まるで古き良き日本の職人のような彼女を見ながら、クラブで手を上げたり、叩いたりしてお客を煽るDJの事を想像しながら、似たような行動を取ってみてはどうだろうという実験を試みたい衝動がよぎる。

 

かといって中学生に「ナイトクラブに行って勉強してこいよ!」なんていったら大問題になってしまうので、せめて目線を大衆に向けて、いや、なんなら試しに上を向きながら演奏する事を提案した(そんなDJいないんだろうけど苦)。

 

すると一瞬で音が飛び出して活き活きとし始めた。楽曲にもニュアンスがバッチリハマるし、何より一番驚いていたのは本人だった。

練習量を大幅に増やしたわけでもなければ、人生が変わるような経験をしたわけでもない。

単に上を向いただけだった。

 

そう言えば昔アンサンブルを勉強し始めた時に、個人プレーしか経験のなかった僕は、うつむいて黙々と演奏をして、タイミングや音色が合わなくて、顰蹙を買ったことを思い出す。その時は結局練習したけど上手くいかなくて、随分と悲しい思いをした。いつしか演奏に慣れて、次に音が繋がる人の方を見て音を届けたり、受け取るようになったが。

 

やはり演奏は言葉(会話)と同じで、コミュニケーションを取るための目線やジェスチャーがとても大事みたいだ。誰に対して話しているのか、何を伝えたいのか、その方向性がないと会話は上手く成立しない。それは共演者だけでなく、相手が聴衆であっても同じなのだろう。

 

彼女に、素晴らしく大切なことを勉強させて貰った。実験台にしてスマン。

 

ちょっと面白かったんで、僕も演奏するときに上を向いて試しに同じフレーズを録音してみたが、音は変わらず、そこには上を向く陰険なオッサンと下を向く陰険なオッサンがいただけだった。中学生ってスゲエ。


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