打楽🐷ぶ〜ろぐ

打楽器愛好者、曲淵俊介の身に日々起きる、打楽器に関する小言

Ⅱ:Cloud&Ⅲ:Buffalo(クラウド・ポリフォニー)

フォニックス公演当日。

楽曲は「クラウドポリフォニー」&「プレイアデス」

ここまできたらやるしかない、というところでございます。

さて、「クラウドポリフォニー」1楽章は紹介したが、2,3楽章がまだでした。

 

【Ⅱ:Cloud】

この楽曲の表題にあるcloudがそのまま楽章になっている楽章。

ピアノと金属鍵盤打楽器群を基本に用いて、シンバル、フレクサトーン、タイゴング等が用いられる。

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これで一人分のセット。

これだけ楽器があると、どんなアクロバティックなプレイが見れるのかと期待が広がるところだが、全体を通して、非常に繊細な世界が広がっている。

奥に見えるグロッケンは弓で弾かなくてはならないため、箱から取り出して設置。ちなみに、ペダルグロッケンも借りたのだが、古めかしいDEAGAN社製のこちらが楽曲には合っているという結論に達した。1番パートも似たようなセッティングになるのだが、やはり印象は同じであった。


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これだけ大きいセットだと、演奏のためにある程度動き回らなくてはいけないことが予想されるが、一番の問題はマレットの持ち替えだ。繊細な空気感で、1小節毎に持ち替えなくてはならない状況もあり、持ち替えミスやノイズが発生するリスクが相当高い楽曲。

例えばチャイムのハンマーとフラットゴングとシンバルが立て続けに登場し、最後にグロッケンを弾かなくてはいけないシーンでは、チャイムのハンマーの片方にフェルトを装着したものを用いて持ち替えを減らすなど、出したい音をまずイメージしてから、代用案を考えた。

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その他マルチマレット(トップにソフトマレット、エンドにグロッケンマレットが合わさっているもの)を使用している奏者もいたりと、それぞれのパートが極限状態を打破するための細工を行っているのである。f:id:buulog:20210904124502j:image

 

ちなみにグロッケンパートの譜面の面倒くさs。。おっと失礼。譜読みの過酷さは異常。色分けしたり、書き換えたりして、なんとか乗り越える。

デリケートながら、スケールの大きい楽章。僕はこの楽章はかなり好きな部類です📯📯f:id:buulog:20210904124840j:image

 

【Ⅲ:Buffalo】

2楽章と正反対の太鼓の楽章。

バッファローの群れがこちらに向かってくるようなかなり迫力のある作品だ。

各奏者11個のトムを使用する。f:id:buulog:20210904090327j:image

6重奏なので、合わせると66個。

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マレットはシンプルにハードとソフトを今回は用いる。スーパーボールも中間部で登場する。

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・Rohema ET423

教育用楽器で有名なロヘマのティンパニマレット。トムのロールセクションで使用する。あまりにも輪郭が出にくいので、ティンパニで使用できるシーンはとても限られてくる印象だが、トムやシンバルでは個性的なサウンドが得られる。ドラムセットをプレイする中でのちょっとしたトムやシンバルの登場するシーンでもいいかもしれない。価格は確か2000円位だった気がする(安!😵)

・Saito 111

こちらもマリンバマレットとしてはかなり小粒な上にハードなので、使用するシーンが限られるが、マルチパーカッション(主に太鼓系)やウッドブロック、木鉦などかなりウエイトの乗り方が理想的だ。


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・ブルロアー

セミの鳴き声のような楽器。

本来は切り込みを入れた木片を紐で括って振り回すものだが、今回は特注。

輪ゴムをはめるスリットがあり、2種のゴムを使って大音量を出すこともできる万能楽器だ。他の作品で使えんのかい?と思うが、意外と登場する準レギュラーなのである。

3楽章に関してはコンセプト重視。少しずつ登場する太鼓のパッセージが少しずつ増幅していき、大音量でのクライマックスからまた遠ざかっていく。というだけのシンプルな作品。ホールの残響も影響し、まさに雲のような世界が広がる。

 

クラウドポリフォニー」&「プレイアデス」全曲というのは、気が遠くなるほど過酷なコンサートとなること必至だし、到底無傷で帰還というわけにはいかないが、2作品の音の雲を抜けた先に一体どんな景色をみるのか。

今から楽しみで仕方がない。