打楽🐷ぶ〜ろぐ

打楽器愛好者、曲淵俊介の身に日々起きる、打楽器に関する小言

動画配信!

以前アップしたさいたま芸術劇場での公演が31日までの期間限定配信になっているので、こちらにも置いておく。

enomoto-bunka.or.jp

長い付き合いのメンバー!

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全5曲の中で、サードコンストラクションとオコは以前の記事の中で紹介しているので、今回は残りの3曲について紹介する。

 

1.Greetings to Hermann

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ドイツ人のドラマー、ハンス・ギュンター・ブロッドマンが、師匠であり演奏も共に行っていたヘルマン・シュヴァンダー氏に書いた作品で、本人たちのカルテットでの録音もされている(上記CABAZA Percussion Quartet)。トムとバスドラムのみの編成で、非常にシンプルながら、ジャズの要素や、クラシックパーカッションアンサンブルとしてのシビアなシーンを取り入れている。

 

太鼓というのは音程のない膜質楽器、という世間一般のイメージ(僕の一方的な偏見かもしれないが・・)を見事に払拭するような一曲。

 

動画や音源ではわかりにくいが、中間部、単音がキャッチボールのように移動するシーンは程よい緊張感と、太鼓によるメロディーラインを強く感じさせてくれる。

この曲といえば、大学受験生のシーズンに、JPC(ジャパン・パーカッション・センター)のサマーキャンプというのに何度か参加した際に、必ず演奏するのがこの曲であったことを思い出す。

右も左もわからない高校生や浪人生が寄せ集まってこの曲を数日間で仕上げていくあの日々が未だにわすれられない、思い出の一曲なのである。

 

2.Onphalo Centric Lecture/Nigel Westlake

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マリンバ4重奏作品。題名「オンファロ・セントリック・レクチャー」とはスイスの画家「パウル・クレー」の書いた一枚の絵が元となっている。

www.bing.com

絵画のことは素人なので、是非お詳しい方はご教授頂きたいところだが、女性らしき人物がお腹の辺りで石を持っている絵だ。

調べるとオンファロ(Onfalo)とはギリシャ語で「へそ」という意味らしく、へそとは生命の創造の中心であり、神聖な存在。それを石に宿し崇拝したものが宗教的に広く存在しているとのこと。

個人的に楽曲は宗教的というよりは、どこか原始的な印象を受けるが・・・

ベースとなっている音楽はアフリカ音楽で、まさにマリンバの起源であり創造された場所。ポリリズムが随所に描かれ、木をくり抜きスリットを入れた「ログドラム」が登場する。

 

3.Marimba Spiritual/Minoru Miki

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打楽器愛好家の間では言わずと知れた、名曲中の名曲。

前半は静かな、しかしエネルギーを秘めたマリンバソロに金物楽器群が寄り添い、後半では秩父のお囃子に乗せ、躍動感に溢れる。

この曲が作曲された80年代、アフリカで起こった深刻な飢饉によって多くの命が失われたことがこの作品を生み出す経緯となった。

前半は死者の魂を鎮める「魂鎮め」、後半は魂の再生を願う「玉振り」として構成されている。

何度やってもいい曲だなと思う作品の一つ。日本の良さ、とかいうものより、エネルギーや感情が音楽に乗せやすいという感じだろうか。これはやった者にしかわからない独特の感覚だ。今回の公演では意外なところで事故が起きているが、それもライブの醍醐味か...…精進あるのみ。

一同悔しい思いを、彩の国公演の後に控えていた、同プログラムの別公演に全身全霊でぶつけていったのは、また別のお話・・・・。

ちなみに、ヨーロピアンが和服的な出で立ちで「ヤーーーー!」って叫んでいる瞬間を多く見かけますが、個人的にメチャメチャ好きなのですよ。某超有名パーカッショニストマリンバスピリチュアルの録音で「トぉリャ~~~~~!」って言っているのがありますね。もう。大好き。

良くある話ですが、わたくし含め、結構な音大出身者が「和の心が無い」説。

西洋音楽の勉強は長いこと行っているのに。

サンバなら一晩中できるのに。

和太鼓は・・・・・。

 

どんな音楽ジャンルでも、自分の生まれた民族的ルーツは、最も大事なことですね。

ドラムスティックより遥かに重たい和太鼓のバチに振り回されながら、そんなことを考えていました。

いつか上半身をはだけながら、筋肉隆々な背中を客席に向けて演奏できる日は来るのだろうか、いや来ない。